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2009年12月 アーカイブ

2009年12月14日

日本IR協議会がIRカンファレンス2009を開催

 

日本IR協議会(東京都千代田区)は、12月16日(水)、日本経済新聞社と共催で、「危機を乗り越える経営とIRの課題」 を総合テーマに IRカンファレンス2009を開催。

今年は会場を六本木アカデミーヒルズに移し、プログラムも充実。7月のIRプレミアム大阪、名古屋セミナーを通じてテーマに掲げている、「IRが築く新たな企業価値」の結びとなるカンファレンスとなる。

今回は、
”危機を乗り越える経営とIRの課題- 深化したIRが築く新たなパラダイムの企業価値”

をメインテーマに、激変する環境の中で種々な課題を抱えながらも、IRが真価・深化を続けていくための、新たな活動への示唆、指針が見えるカンファレンスを目指す。

【開催要項】
日時 :2009年12月16日(水) 午前9時半(開場9:00)~午後5時半
会場 : 六本木ヒルズ森タワー 六本木アカデミーヒルズ
(東京都港区六本木6-10-1 電話:03-6406-6649)
主催 : 日本IR協議会/日本経済新聞社
参加定員:参加定員: 300名(定員になり次第申込み締め切り)

詳細はこちら

2009年12月15日

「勘定」から「感情」の世界へ

 

 「百年に一度の不況」に見舞われた激動の一年が終わろうとしています。日・米で政権も変わり、世の中の「ルール」が大きく変化したスタートの年として、2009年は歴史の教科書に載る転換点となるかもしれません。昨今、景況感が上向いているといった明るい兆しのニュースも散見されるようになりましたが、デフレスパイラルの危機や、年明けにあるかもしれないと言われている二番底への懸念など、まだまだ楽観できない状況は続いてはいます。

 このような企業をとりまく大きな政治・経済状況の変化とともに、企業をとりまくステークホルダーとの関係も、徐々に変わりつつあります。誤解を恐れず極論すれば、ステークホルダーとの関係性は「勘定だけの世界」から「感情も含めた世界」に変移しつつある、ということです。企業の価値を測るモノサシが、「経済合理的軸」だけでなく、「非経済合理的な軸」の重要性が確実に高まってきた、と言っても良いと思います。

 企業経営において、「業績」をはじめとする「経営数値」が重要なことは言うまでもありませんが、昨今、その企業の「存在意義」そのものや、「サスティナビリティ」への着目が強くなりはじめました。

 近視眼的な「損得勘定」ではなく、「社会の為になるから価値を感じる」「自分と考え方が合う」というステークホルダーからの支持・支援が増えている実感値を、IRの担当の方々は最近感じられることが多いのではないでしょうか?

 「財務諸表に表われない、目に見えない企業価値をどのように可視化するのか?」という、多くのIR担当者が抱えるこの問題へのアプローチは、「感情(エモーショナル)」にどう働きかけるか、というところにヒントがありそうです。

 経済やマーケティングの世界では、「行動経済学」「神経経済学」という学問が研究されつつあり、合理的には説明できない人の「感情」がクローズアップされてきています。世の中のルールが大きく変わる中、IR領域においてもこの変化が強まるのではないかと思っています。

 こうした流れをいち早くつかみ、投資家・株主を始めとするステークホルダーとのコミュニケーションを活用する会社が、多くの人々の心を掴むのではないでしょうか?
 IRの今後の流れを占う、重要なキーワードの一つが「勘定から感情(エモーション)」へなのです。

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2009年12月28日

経営者の「想い」と投資行動

 

 IR協議会から毎年発行されている「IR活動の実態調査」において、「財務情報に現れにくい企業価値の説明」についてIR活動の課題として挙げる企業が非常に多く、またここ数年その関心が高まってきているそうです。

 財務諸表に現れない企業価値には人的資源、顧客、ブランド、組織風土などがありますが、その中の一つとして経営者の魅力というものがあります。経営者の考え方、ビジョンは会社運営に大きな影響を与えます。特に第一線で活躍する経営者は考え方、ビジョンが明確でそのメッセージは一貫しており、そして事業に対して並々ならぬ「想い」を持っています。

 IR活動においても経営者の考え方、メッセージ、事業に対する「想い」を如何に投資家、ステークホルダーに対して伝えていくことができるかが重要になってくるのでしょう。

任天堂株式会社2006年経営方針説明会
(個人にもわかりやすい語り口で、また数値を多用し説明されているので納得感がある説明会です。)

 岩田社長は就任当時から一貫して「ゲーム人口の拡大」というテーマをスローガンに掲げています。就任当時の2002年、ゲーム業界はグラフィックの豪華さや操作性の複雑さなどから一部のコアユーザーだけに支持されるような状況で、ゲーム市場全体も縮小傾向にありました。この状況を危惧した岩田社長は「ゲーム人口の拡大」というテーマのもと、年齢や性別、ゲーム経験の有無を問わず皆が楽しんでもらえるようなゲーム作りを志向していき、ニンテンドーDSやWii、直感的な操作で楽しめるソフトウェアを数々作り出していきました。その後の快進撃は皆様もご存知のところでしょう。やはりその原動力は岩田社長の「ゲーム人口の拡大」という強い「想い」があったからなのではないでしょうか。

任天堂株式会社 2009年3月期(第69期)決算説明会
(過去最高益を出した本年3月の決算説明会の模様です。)

株式会社サイバーエージェント 第12回 定時株主総会 第2部 事業説明会
 先日行われた株主総会後の事業説明会での席上、藤田社長は黒字化したAmeba事業について淡々とした語り口で振り返っていますが、藤田社長のAmeba事業に対する「想い」は見る人に強く伝わってきます。(5つ目のインデックス「創業時からの売上高と株価の推移」)
 時勢の早いインターネット業界において、一つの事業を5年もの歳月をかけて育てていくことは企業トップの執念にも似た「想い」がなければ成しえなかったことでしょう。

 財務諸表には現れない企業価値の一つである経営者の魅力は時として大きな投資判断の材料となることがあります。特に企業が大きく変革を成し遂げようとする瞬間は財務データではなく、企業経営者の事業に対する「想い」がどれだけ強いかによってでしか判断することが出来ないかもしれません。

 また経営者が語る「想い」は人に経済的観点を忘れさせて、ただ単に企業を応援したくなる、その企業に好きになる、そのような心理的行動を誘引することがあります。それによって行った投資行動は正に「企業のファン」としての株主が生まれることを意味するのではないでしょうか。その株主にとっての株式は単なる金融商品ではなくオーナーシップの証であり、短期の値動きにとらわれることなく、中長期的に企業の趨勢を見守っていくのでしょう。

 経営者の発するメッセージに「共感=投資」する。経営者のメッセージを広く的確に伝えていくことは企業のファン株主を創出する上でも必要なのかもしれません。

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