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IR活動の実態【IR協議会】
(2)IR担当者の抱える課題
Posted by admin on 2008/05/22
IR担当者の抱える課題
Q6.IR担当者はどんな悩みを抱えていますか?
*IRオフィサー・・・経営トップを支えるIR責任者
・株主、投資家からの意見をどう社内にフィードバックするか
・社内からの情報収集の方法(社内のネットワーク作り)
・人材育成、キャリアパスの確立
などがあります。
悩みでも挙げましたが、IRオフィサーは、まだ「キャリアパス」が確立していないと言われていますが、(IR活動野実態調査によると)IR部門長から役員に就任した企業は約2割ありました。専門知識を備えて、会社を代表して社外と対話でき、社内でも評価される人材が育ってきているのではないでしょうか。
また、当会ではIRオフィサーの習熟度をはかるために、「IRスキルのレベル評価システム」導入の準備を進めています。これを取得することで、社内の人事評価の対象などに繋がればと考えています。悩みも多い反面、IRは、投資家や外部の人との接点が多いので、刺激的でやりがいがある仕事だと感じている担当者が多いです。
-IRサークルについて教えてください。
当会では、IR担当者同士の交流や情報交換を目的として、IRサークルなどの分科会を開催しています。プログラムは、講師による講演と、会員のグループディスカッションが基本です。講演はIRについての事例報告を中心に実務を学ぶ場として、ディスカッションは、自身の疑問点や悩みを議論し情報交換する場との位置づけです。IRサークルは、学習以外にもIR担当者の人脈作りの場としても活用されています。テーマにもよりますが、IR担当者50~70名に参加いただいています。
-「トップの理解が得られない」と嘆く担当者も多いですが、協議会の対策は?
会員企業のトップに限定したトップセミナーを開催しています。講師を招き、「IRはトップの仕事である」「外国人投資家がなぜガバナンスを求めるのか」など、IRの本質を再認識してもらう場を設けています。
(過去のテーマ)
中国経済の行方、政治の底流を読む、「責任ある投資」を実行するための対話の重要性 など
Q7.今後、IR担当者に求められるものは?
①財務・経理・資本市場・関連法規の知識
②自社の経営の方向を大局的に把握する力
③社内外とのコミュニケーション能力
企業と投資家の立場を理解して適切に行動すること、投資家や社内とのディスカッションやコミュニケーションに必要な知識と経験を身につけることが求められています。
-具体的に必要な知識、その活用法について教えてください。
①ファイナンス(財務・知識)
財務や経理の知識は、アナリストや投資家の分析手法や理論を学び、彼らの視点を理解するために必要です。
②法令・制度、自社の事業内容
法令や制度の知識は、株主総会にIRの視点を加えたり、制度的に開示する情報をわかりやすくするために必要です。
③コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの知識は、議決権行使を促進したり、経営の透明性を高めて不祥事などのリスクを小さくすることに活用できます。
他に、経営企画、語学などがあげられます。
-年々、求められるスキルが高まっていますが、最も必要なものは?
資本市場と企業の間の認識ギャップを縮小する能力です。株主・投資家やアナリスト・ジャーナリスト、ときには社内の部門長などの立場を理解し、相手が納得できるようなコミュニケーションをとることが必要となります。
-IR担当者は、財務部門などの出身が多いですか?
IRオフィサーやIRスタッフ(担当者)は、財務・経理部門や企画部門の出身者である必要はありません。財務だけでなく、自社を横断的に理解し、正しい情報を外部に発信できれば出身は関係ないと思います。営業部門からIR部門に赴任して活躍する人も数多く存在します。
Q8.上場企業の約6割がIR支援会社を活用しています。
-現在、企業はどのようにIR支援会社を活用していますか?
IR活動のすべてを社内で行うには、人的・予算的な問題もあるので、IR支援会社をうまく活用してもらいたいと思います。当会会員企業のIR担当者からあがる意見・活用法としては、
・ストーリー作りなど、根幹に関わるところは自社で作成
・包括契約ではなく、その会社の得意分野で個別契約する
・企業規模に合わせて相手を選ぶ
・企業よりもむしろ担当者との相性が重要
・外部リソースの活用は、社内の限られた資源(人的・経験・時間など)を補完するためにも重要。但し、明確な目的と意識を持って役割分担を決める必要がある。
などです。
-今後、どう活用していきたいとの意見がありますか?
・業務効率を高めるためだけでなく、支援会社の持つ経験やノウハウを取り入れて、IR活動の質的な向上、つまり企業価値の正しい評価、企業価値の向上を実現する
・支援会社の強み、例えばグループ力や専門知識の深さなどを見極めて選択する
・経営者やIRオフィサーのアドバイザーとする。例えば、外国人投資家向けIRの留意点にコメントをもらう、中期経営計画に対する投資家の反応について、第三者的な立場で経営陣に説明してもらう
・これまでのIRにない視点を提供してもらう。例えばメディアの活用や、リスクマネジメントとIRのつながりなど。
IR支援会社を、単純なサポートのみではなく「外部の視点」で社内に情報をフィードバックしてもらうことも必要であると思います。
<<(1)IR活動の課題 をお伺いしました。
日本IR協議会の活動内容
IR活動の普及、IRオフィサーの育成を目的に1993年5月に設立。会員数769会員(2008.5現在)活動内容は、IR大会やIRセミナーの開催、IR実態調査、機関誌「IR-COM」の発行、IR優良企業賞の表彰など多岐にわたる。
日本IR協議会
https://www.jira.or.jp/
日本IR協議会に関するお問い合わせはこちら
mailto:kanri@jira.or.jp
取材・文/萩原恵子
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