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「世界観」の持つ大きな引力~ヴィジュアル系を例に~

Posted by admin on 2010/08/23

 

  「経験価値」という言葉をご存じでしょうか。性能や品質、価格で売り込む製品や、顧客の便益をカスタマイズしたサービスといった従来の経済価値とは異なり、感動の演出によって顧客が「経験」を得ることに価値がある、という考え方です。これは『経験経済-脱コモディティ化のマーケティング戦略』(B・J・パイン、J・H・ギルモア著)の中で提唱されている概念で、「経験価値」は、コモディティ・製品・サービスに続く第4の経済価値として述べられています。製品やサービスをコモディティ化させないためには、企業はブランド戦略を練り上げ、自社が演出する世界観に圧倒的な共感を獲得することが必要となります。機能的な便益ではない情緒的な感動は、他社では得られない「経験」という付加価値をもたらし、顧客は高いお金を払ってでもその「経験」を求めてリピートするようになるのです。

 「経験価値」の具体例には、ディズニーランドやスターバックスがよく引き合いに出されるのですが、私はその最たる例として、音楽様式のひとつである「ヴィジュアル系」(以下V系)が挙げられるのではないかと思います。V系バンドは、1990年代後半に隆盛を極めてからも、コアなファンに長く支えられ、現在でも根強い人気を誇っています。世間一般には「化粧が濃いだけの過激なバンド」という誤解をされがちですが、ここでは「日本独自の文化であり、独自の世界観を持って活動しているバンド」と言うに留めておきます。
 彼らのファンが、お気に入りのバンドメンバーのコスプレをして集結している姿や、ライヴで一様に激しく頭を振っているシーンなどを、テレビで見たことがある方もいらっしゃるかも知れません。V系のファンが熱狂的なのは、単にバンドのつくる楽曲や歌詞、メイクやファッションだけではなく、バンドがつくり上げる「世界観」そのものに共鳴しているからなのです。この場合、メイクやファッションは、楽曲と相まって「世界観」をつくり上げるための一要素です。コスプレは、メイクやファッションを真似ることで、この「世界観」に陶酔するための行為です。ライヴは、バンドが表現する「世界観」を全身で体感するための場であり、バンドメンバーとファンが一体となる「非日常感」が生み出す感動は、心揺さぶる大切な「経験」として次回への強力なリピートにつながります。

 V系を例にとって述べましたが、独自の「世界観」は大きな引力を持ち、他者(他社)との差別化を図り、ファン(顧客)の圧倒的な共感を獲得することを可能とします。感動をより効果的に演出し、顧客に「経験価値」を感じさせるには、「世界観」を再現性のある言葉に落としたメッセージや、さらなる展開を期待させるストーリーも重要になるでしょう。「世界観」というと大げさに聞こえてしまうかも知れませんが、自社が大切にしているこだわりや、自社らしさという言葉に置き換えて考えてみると分かりやすいかも知れません。自社らしさを演出する最も分かりやすい手法は、意味凝集性が高く、オリジナリティのある言葉をつくり出し、浸透させていくことではないでしょうか。例えば、株式会社リンクアンドモチベーションでは、自社の「世界観」を端的に表現する言葉として「ひとりひとりの本気がこの世界を熱くする」というコーポレートキャッチを掲げ、名刺やメールの署名をはじめとしてさまざまなシーンで展開しています。このキャッチの受信者は、リンクアンドモチベーションらしさというものをどことなく感じ、その「世界観」と接続することが可能になるのです。コーポレートコミュニケーションを考える大前提として、ステークホルダーに本当に自社らしさが伝わっているか否か、一度立ち止まって考えてみる機会を持ってみてはいかがでしょうか。

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