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わかりやすい言葉でわかりやすいIRを

Posted by admin on 2010/07/26

 

 「被用者」、「監護」。
 今年5月、仙台市が市民に発送した「子ども手当」の申請書にあった言葉です。「ひようしゃ」、「かんご」と読むことはできても、どういう意味かわかる人は多くないのではないでしょうか。
 やさしい言葉で言い換えると、「被用者」は「会社勤めの人」、「監護」は「親など手当を請求している人自身が子どもを育てていること」で、もともとは法律用語とのことです。法律の世界では当たり前の言葉も、一般社会では通用せず、「意味がわからない」と市民からの問い合わせが市のコールセンターに殺到したそうです。こういうニュースが流れると「だから、お役所仕事なんだ。少しは市民の立場になれ」と思う人がいるかもしれません。
 では企業が開示する情報はどうでしょう。「子ども手当」の場合は、きちんと申請書に必要事項を記入しないと手当をもらえる時期が遅れてしまうため、意味不明な言葉に対して問い合わせが殺到したわけですが、企業がWebサイトやアニュアルレポートなどで公開している情報に対して「意味がわからない」と問い合わせてくれる人はどれくらいいるのでしょう。ほとんどの人はアクションを起こさずに意味を理解しないまま終わってしまっているのではないでしょうか。

 IRというと投資家に向けた広報ということで、どうしても収益や経営指標など数字に重点を置いた情報発信がメーンとなります。もちろん投資の判断として財務データは大切な情報の一つですが、個人投資家(ファン)獲得と長期保有を課題とする企業が増えている今、目に見えない企業価値をわかりやすく伝えていくことも重要になってきています。
 新しいビジネスモデル、経営者の理念や経営戦略、優秀な人材、経済合理軸だけを追求しない事業展開など、数字の裏に隠れている企業価値はたくさんあります。その「目に見えない価値」を可視化するためには、より具体的でわかりやすい、伝わるコミュニケーションが必要不可欠です。専門用語やカタカナ語を多用したり、社内でしか通用しない言葉を使用したり、わかりづらいけれど以前からこの表現なのでよしとしていたら……。それは「伝えた」ことだけに満足している、一方的なコミュニケーションです。コミュニケーションは「伝わる」ことで、初めて価値を生むことを認識する必要があります。

 例えば、CSRという言葉。読売新聞が2009年9月に実施した「都市生活者Web調査」によると、CSRを「知らない」と答えた人が全体の76.0%にものぼり、意味まで知っている人はたったの8.5%だったそうです。上場企業では当たり前のように使っていますが、一般的には認知度がとても低い言葉なのです。企業価値の一つでもあるCSR活動の報告が自己満足的な発信にならないよう、自社のCSRに対する考え方をわかりやすい言葉でていねいに伝えることが価値のあるコミュニケーションにつながると思います。
 自社の価値を正しく理解してもらえる言葉で発信しているのか。改めて、「伝わる」コミュニケーションについて考えてみてはいかがでしょうか。


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