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開かれた株主総会に向けて

Posted by admin on 2010/06/21

 

 今週から3月決算企業の株主総会の開催がピークを迎えます。弊社でも、事業報告のビジュアル化制作や株主総会の動画収録・配信、総会運営準備などピークを迎えています。

 さて、今回タイトルに挙げた「開かれた株主総会」ですが、長きにわたり株主総会運営の課題・目標として掲げられてきました。
このテーマのもと、各社が注力した結果、以前のような儀式的な総会、あるいは総会屋を連想させるダーティな総会といったイメージは、個人株主や一般の方からほぼ一掃され、今では工夫を凝らした個性溢れるユニークな株主総会も登場してきています。

 そんな中、‘開かれた株主総会’に向けた取組みで注目したのが、ソニーの株主総会です。
 今年から同社では、インターネットを活用した株主総会のLIVE配信を株主限定で実施しました。株主総会のLIVEや生中継でいえば、以前から豊田通商がインターネットを活用してLIVE配信を一般に公開し、参加したくとも参加できない株主の地理的事情に配慮した取組みはありましたが、なかなかこうした取組みが他の企業に普及することはありませんでした。
株主権利の捉えかたにより、多くの企業で一般公開が積極的に実施できなかったためです。
その点、今回のソニー株主に限定したLIVE配信は、この問題点をクリアにすることができます。

 多くの企業では、60~70代の株主が主流であり、依然株式の売買は対面取引の証券会社を経由していますが、この世代のインターネットアレルギーは年々薄れてきています。
インターネットLIVEや生中継ではなく、実際に総会に出席できることが理想ではありますが、株式は一般的には市場を通じて売買されるため、株主は世界中に点在することとなり、全員参加の株主総会は現実的ではありません(この場合、企業サイドの金額的負担も現実的ではありませんが…)。
また、総会に対して参加・視聴願望がすべての株主にないとしても、今回のソニーのような取組みは、視聴者に企業理解を深める効果以外にも、スタンス面で株主から支持を受けることが予想され、長期保有促進に寄与すると考えられます。もちろん、同時に株主総会を「儀式」ではなく、「説明責任の場」としてわかりやすい意味のある総会にする努力も必要です。企業の成長戦略や理念の実現には、安定した長期株主が欠かせません。

 実施には、それなりのコストがかかるものであり、費用対効果を考慮しなくてはなりませんが、株主数が多い企業であればあるほど検討する価値はあるのではないでしょうか。
 証券会社勤務時代に多くの投資家(株主)と接した私としては、株主にとってよりよい環境が整うことを願っています。

 さて、話は変わりますが、ご存じのように今年の株主総会では、10年3月期から1億円以上の役員報酬を受け取る役員名と報酬額を個別に有価証券報告書に開示することが義務付けられたことから、役員報酬額や開示について注目が集まっています。既に株主総会が終了したソニーやHOYAでも質疑応答時に株主から質問があがったことや、個別役員報酬額が新聞などのメディアで報道されていることから、1億円以上の役員報酬を得ている・得ていないに関わらず、多くの企業の株主総会で株主からの質問が相次ぐのではないかと予想しています。

 各企業もこの手の質問に対する回答は事前準備されているかと思いますが、機械的な受け答えではなく、株主にとって納得感のあるトップによる懇切な回答、それこそ‘開かれた総会’が開催されることを願っています。


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