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個人株主のロイヤルティ向上のために求められるものとは

Posted by admin on 2010/05/18

 

 様々な業種の企業のIR活動の支援をさせていただいている中で、最近特に、個人投資家に向けての相談が増えてきているのを感じます。その相談内容の中でも特に多いのが「株式の継続保有促進」といったテーマですが、有効な施策までなかなか落ちていかないケースが多く見受けられます。

 上記のような個人株主に向けてのコミュニケーションの中で、最も直接的にアプローチしているものの一つに株主通信が挙げられるかと思います。しかしながら効果的に活用できている企業は少なく、マーケティングアプローチの導入に関しては、成功していると言える状況のものは稀であると言わざるを得ません。

 事例を挙げますと、個人株主が1万人存在する、とある企業が毎号実施しているアンケートで株主の声を集め、それを反映させた情報発信をしているとします。この行為自体に問題はないのですが、気をつけなければいけないのが集まった株主の声は、どういった属性の人たちなのかを適切に把握することができていなければ、かえって構成の方向性をミスリードする可能性が高いということです。

 例えば300枚のハガキの戻りがあり、主に50代以上の方がその中の大多数を占めていたとして、求める項目に「読みやすさ」「今後の成長戦略」といったものが挙げている人が50名と最も多い回答数でした。そこで担当者であるあなたは少し年配の方向けに大きい文字で新たな事業展開の特集を組みました。
 しかしこれで本当に株主満足を高め、ロイヤルティを高めることにつながっていると言えるでしょうか?

 統計的な見地で言えば、その抽出された300サンプルが適切に実態を切り取った縮図となっているかどうかがその判断の分かれ目となりますが、実態は一定のバイアス(偏り)がかかった状態での回答・回収であることは否めません。
 とすれば、アンケートは「株主の声を拾おうとしている企業姿勢の伝達手段」としては機能しますが、それが株主像の把握方法としては参考値の域を出ないということになってしまいます。

 必要なのは株主像を把握するために、適切な抽出方法による株主調査を実施するということであり、株主ニーズに応える施策を実施するためにその調査に基づいた継続保有促進のキーとなるターゲットを選定することです。そしてそのターゲット像を基準にツール制作や説明会、そしてメディア露出を優先順位と共に設計することで、人・モノ・金のリソースの適切な分配が科学的に決定できるようになります。

 株主のロイヤルティを高めるためにはまず株主を定量的に知ることが第一歩であり、マーケティングの領域では当たり前のように行われていることがIR領域においてはまだまだ、というケースは実に多くあります。そのプロセスをどう組み込んでいくかに今後に向けての課題がありそうです。


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